【実録】住宅ローン審査で所得証明が出せず、無申告に気づいたケース

住宅ローン審査と無申告の実録事例

目次

【実録】住宅ローン審査で所得証明が出せず、無申告に気づいたケース

住宅ローンの審査では、通常、過去数年分の所得を証明する書類の提出が求められます。
しかし、個人事業主や副業を持つ会社員の中には、所得の確定申告をしていなかったために、この段階で初めて「未申告」という大きな問題に直面する方がいます。
家を買いたいという夢が、過去の未申告によって阻まれるのではないかという不安は、住宅ローン審査において深刻な課題です。

この記事でわかること

  • 住宅ローン審査で無申告に気づくケース
  • 無申告でも住宅ローン審査の土台に乗るための流れ
  • 無申告から住宅ローン審査に進んだ実例
  • 所得証明・納税証明が出せない場合のリスク
  • 税理士に相談して申告を進めるメリット

【諦めないで】無申告でも住宅ローン審査に通る可能性はあります

所得が未申告の状態では、原則として住宅ローンの審査に通りません。
しかし、未申告だったからといって、住宅購入を諦める必要はありません。

適切な手順を踏んで過去の申告と納税を済ませれば、審査の土俵に上がることが可能です。
住宅ローンと無申告の関係については、無申告だと住宅ローンは組めない?所得証明・納税証明が出せないリスクを解説でも詳しく解説しています。
重要なのは、現状を正確に把握し、誠実に対応することであり、それによって審査通過の道が開けるケースも存在します。

この記事でわかること:無申告から住宅ローンを組むための具体的な手順

この記事では、所得が未申告の状態から住宅ローンを組むための具体的なステップを解説します。
過去の申告をどのように行い、どの金融機関を選ぶべきか、そして実際に審査を通過した実例を紹介することで、同様の悩みを抱える方が次にとるべき行動を明らかにします。

属性別|無申告から住宅ローンの審査に通った3つの実例

過去に所得が未申告だったとしても、適切な対応を行うことで住宅ローン審査に通った実例は存在します。
ここでは、フリーランス、一人親方、副業を持つ会社員という異なる属性の方々が、どのようにして未申告の状態を克服し、住宅ローン審査を通過したのか、具体的なケースを見ていきましょう。

【実例1】3年間無申告だったフリーランスが期限後申告で審査通過

フリーランスのAさんは、開業から3年間、所得の確定申告が未申告の状態でした。
住宅購入を決意しローン審査の準備を始めた際に、所得証明書を提出できないことに気づき、税理士に相談。
税理士の助言のもと、速やかに過去3年分の期限後申告を行い、算出された所得税と住民税、延滞税などを一括で納付しました。

その上で納税証明書を取得し、金融機関に提出。
未申告の経緯を正直に説明した結果、誠実な対応が評価され、無事に審査を通過できました。

【実例2】売上を低く申告していた一人親方が修正申告で希望額の融資に成功

一人親方のBさんは、数年間にわたり経費を多めに計上し、意図的に所得を低く申告していました。
その結果、住宅ローン審査で借入希望額に全く届かないことが判明。
このままでは希望の物件を購入できないため、税理士に相談し、過去の申告内容を見直す決断をしました。

正しい所得額で修正申告を行ったところ、課税所得が増え、それに伴い追加の税金を納めることになりましたが、結果的に返済能力が認められ、希望額通りの融資審査に成功しました。

【実例3】副業収入が無申告だった会社員がフラット35で家を購入

会社員のCさんは、本業の給与所得とは別に、週末の個人事業で年間100万円ほどの副業収入がありましたが、その分は未申告でした。
本業の収入だけでは住宅ローンの借入額が不足するため、副業収入も合算して申し込むことを検討。
税理士に相談後、過去の副業所得について期限後申告を行いました。

そして、比較的所得要件が柔軟で、直近1年分の所得で審査が可能な「フラット35」に申し込んだところ、無事に審査を通過し、マイホームの購入が実現しました。

そもそもなぜ無申告だと住宅ローン審査に通りにくいのか?

所得が未申告の状態では、住宅ローンの審査通過が極めて困難になります。
これは、金融機関が融資の可否を判断する上で、申込者の「返済能力」と「信用度」を最も重視するためです。
未申告であることは、この両方の観点から重大な懸念材料と見なされてしまいます。

理由1:返済能力を証明する「所得証明」が提出できないから

住宅ローン審査では、申込者の返済能力を客観的に証明する公的な書類として、課税証明書や納税証明書の提出が必須です。
これらの書類は、地方自治体が発行するものであり、所得の確定申告が正しく行われていることが発行の前提となります。
申告をしていなければ、自身の所得を公的に証明する手段がなく、金融機関は返済能力を判断する材料を持てません。

理由2:社会的信用度が低いと判断されてしまうから

納税は国民の義務であり、確定申告を期限内に行うことは社会的な責務です。
所得が未申告であるという事実は、この義務を怠っていることを意味し、申込者のコンプライアンス意識や社会的信用度が低いと金融機関に判断される一因となります。
長期にわたる返済契約を結ぶ上で、こうした信用度の欠如は大きなマイナス評価につながります。

理由3:金融機関がコンプライアンス違反を懸念するから

金融機関には、反社会的勢力との取引排除やマネーロンダリング防止といった、厳しいコンプライアンス(法令遵守)体制が求められています。
所得を申告していない、つまり脱税の状態にある可能性が高い人物に融資を行うことは、金融機関自体のコンプライアンス違反のリスクを抱えることになります。
そのため、審査の段階でそのようなリスクを避ける傾向が強くなります。

無申告の状態から住宅ローン審査に通るための4ステップ

所得が未申告の状態から住宅ローン審査のスタートラインに立つためには、過去の問題を清算し、公的に所得を証明できる状態にする必要があります。
そのためには、専門家の助けを借りながら、計画的にステップを踏むことが不可欠です。
ここでは、審査通過に向けた具体的な4つのステップを解説します。

ステップ1:まずは税理士に相談して現状を正確に把握する

最初に行うべきことは、税務の専門家である税理士に相談することです。
自己判断で手続きを進めるのではなく、何年分の申告が必要か、帳簿や領収書などの資料がどの程度必要か、納税額がいくらになる見込みかなど、現状を正確に把握することが重要です。
税理士は、未申告の状態から最も効率的に問題を解決する方法を提示してくれます。
税理士に相談するメリットについては、無申告を税理士に相談するメリットとはでも詳しく解説しています。

ステップ2:過去数年分の期限後申告を速やかに行う

税理士と相談の上、必要な過去の年数分について「期限後申告」を行います。
住宅ローン審査では、一般的に直近2〜3年分の所得証明を求められることが多いため、少なくともその期間の確定申告は済ませておく必要があります。
申告書の作成は複雑な場合が多いため、税理士に代行を依頼するのが確実です。

ステップ3:納税証明書など審査に必要な書類を揃える

期限後申告を終え、算出された税額を全て納付します。
納税が完了したら、管轄の税務署で「納税証明書(その3の3)」を、市区町村の役所で「課税証明書」を取得します。
これらの公的書類が、住宅ローン審査においてあなたの所得と納税状況を証明する上で不可欠となります。

ステップ4:申告内容を正直に説明し金融機関に申し込む

必要な書類が全て揃ったら、金融機関に住宅ローンを申し込みます。
その際、確定申告書の受付印の日付などから、期限後申告であることは金融機関に伝わります。
なぜ申告が遅れたのか、その経緯を正直に、かつ簡潔に説明する準備をしておきましょう。

問題を真摯に解決した姿勢を示すことが、審査担当者の信頼を得る上でプラスに働く場合があります。

所得を低く申告していた個人事業主が審査に通るための対策

節税を意識するあまり、経費を過大に計上するなどして所得を実際よりも低く申告している個人事業主は少なくありません。
しかし、これは住宅ローン審査において借入可能額が低くなる原因となります。
この状況を打開し、希望額の融資審査に通るためには、過去の申告内容を見直す対策が必要です。

対策1:修正申告で所得額を適正な金額に直す

最も有効な対策は、過去の確定申告の内容を正しい所得額に訂正する「修正申告」を行うことです。
修正申告によって所得額が増えれば、それに伴い追加の税金を納める必要が生じますが、金融機関に提出する所得証明書の金額が上がるため、返済能力が高いと評価されます。

これにより、借入可能額が増加し、希望する物件の購入に近づきます。

対策2:事業の実態や将来性をアピールする資料を用意する

修正申告を行うと同時に、事業の安定性や将来性を客観的に示す補足資料を用意することも審査で有利に働く可能性があります。
例えば、今後の事業計画書、過去数年間の売上や利益の推移がわかる資料、安定した取引先との契約書などを準備しましょう。
数字だけでは伝わらない事業の実態をアピールすることで、審査担当者の理解を得やすくなります。

住宅ローン購入後に無申告がバレるリスクとペナルティ

仮に何らかの方法で無申告のまま住宅ローンを組めたとしても、その後に税務署から指摘を受けるリスクは非常に高くなります。
高額な買い物である不動産の購入は、税務署が個人の資産状況を把握するきっかけとなりやすく、未申告が発覚した場合には無申告加算税などの重いペナルティが課されます。

「お尋ね」が届く仕組み:不動産登記情報が税務署に通知される

不動産を購入して所有権移転登記を行うと、その情報は法務局から管轄の税務署へ通知される仕組みになっています。
税務署は、その登記情報をもとに「お買いになった資産の買入価額などについてのお尋ね」という書類を送付し、購入資金の出どころなどを確認します。
この際、所得が未申告であるにもかかわらず高額な不動産を購入していると、資金の出所が不明瞭であるため、税務調査の対象となる可能性が高まります。

無申告が発覚した場合に課される重い追徴課税とは

税務調査などによって過去の所得が未申告であることが発覚した場合、本来納めるべきだった所得税や住民税に加えて、ペナルティとして複数の追徴課税が課されます。
代表的なものに、納税が遅れたことに対する「延滞税」や、申告しなかった罰則である「無申告加算税」があります。
無申告加算税の税率は原則として納付すべき税額の15%から20%と非常に高く、経済的な負担は大幅に増加します。

無申告だった人が住宅ローンを申し込む際の金融機関選びのポイント

過去に所得が未申告だったという経緯がある場合、金融機関選びは住宅ローン審査の成否を分ける重要なポイントになります。
すべての金融機関が同じ審査基準ではないため、自身の状況を理解し、比較的柔軟な対応が期待できる金融機関を選択することが、審査通過の可能性を高めることにつながります。

ポイント1:「フラット35」は所得要件が比較的柔軟

住宅金融支援機構が提供する「フラット35」は、民間の金融機関のローンとは異なる審査基準を持っています。
大きな特徴として、審査対象となる所得が直近1年分でよい場合があります。
過去に未申告期間があったとしても、直近1年(または2年)の期限後申告と納税をしっかり済ませていれば、審査のテーブルに乗りやすくなります。

年収に占める返済額の基準が明確な点も特徴です。

ポイント2:地方銀行や信用金庫は個別の事情を考慮してくれる場合がある

メガバンクのような全国規模の銀行は、審査がシステム化されていることが多く、基準から外れると通過が難しい傾向があります。
一方、地域に根差した地方銀行や信用金庫は、申込者との対話を重視し、個別の事情を丁寧にヒアリングしてくれる場合があります。

期限後申告に至った経緯や現在の事業状況などを誠実に説明することで、担当者の理解を得て審査で柔軟な判断をしてもらえる可能性が考えられます。

無申告 住宅ローン 実例に関するよくある質問

所得が未申告の状態から住宅ローンを組むことを検討する際には、多くの方が同様の疑問や不安を抱えます。
ここでは、期限後申告の事実が審査にどう影響するか、未納税額がある場合の対応、税理士費用の相場など、特によく寄せられる質問について回答します。

期限後申告をすれば、過去に無申告だった事実は金融機関に伝わりますか?

はい、伝わります。
確定申告書の控えには税務署の受付印が押されますが、その日付が申告期限後であれば、期限後申告であることは金融機関に分かります。
しかし、納税義務を果たしている以上、それ自体が即審査落ちの原因にはなりません。

未申告の経緯を正直に説明し、誠実に対応する姿勢が重要です。

未納税額が多くてすぐに支払えない場合、住宅ローンの申し込みは不可能ですか?

完納していない状態での審査通過は極めて困難です。
納税はローン審査の前提条件だからです。
もし一括納付が難しい場合は、まず税務署に相談し、分割納付が認められるか確認しましょう。

その上で、納税計画を金融機関に具体的に説明することで、審査を検討してもらえる可能性はゼロではありません。

期限後申告を税理士に依頼する場合の費用相場はどのくらいですか?

事業規模や申告年数で大きく変動しますが、個人事業主の場合、1年分の確定申告で5万円~15万円程度が目安です。
複数年分をまとめて依頼すると割引が適用されることもあります。
帳簿の作成状況や資料の整理具合によって費用は変わるため、複数の税理士事務所に見積もりを依頼して比較検討することをおすすめします。

まとめ:誠実な対応が住宅ローン審査通過への第一歩

過去に所得の申告を怠っていた場合でも、住宅ローンを組む道が完全に閉ざされるわけではありません。
最も重要なのは、専門家である税理士に相談し、速やかに期限後申告と納税を済ませることです。
過去の過ちを清算し、公的に所得を証明できる状態を整えるという誠実な対応が、金融機関からの信頼を得て住宅ローン審査を通過するための第一歩となります。

住宅ローン審査で無申告に気づいた方へ

所得証明や納税証明が出せない場合でも、期限後申告と納税を進めることで審査の土台に乗れる可能性があります。住宅購入を諦める前に、まずは過去の申告状況を整理しましょう。

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この記事を書いた人

武信 隼人(たけのぶ はやと)
武信 隼人(たけのぶ はやと)公認会計士・税理士
所属 公認会計士協会中国会 中国税理士会
公認会計士  第31637号
税理士 第128479号

1977年広島県呉市生まれ。会社が倒産した祖父と同業で起業した父の後ろ姿を見て育つ。青山学院大学経済学部卒業後、大手監査法人で幅広い業種の監査やコンサルティング業務を経験。その後、祖父及び父の経営していたような中小企業や個人事業主・フリーランスを助けるべく奮闘中。
日本全国の無申告・税務調査の対応件数は過去4年間で700件以上。IT/AIを駆使した業務効率化とサービス提供を行い、多くのお客様に最善のサポートを行っている。

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