「いつか使う予定の土地」は経費になる?
──歯科医が負けた“予定だけ”では通らない税務の現実
目次
はじめに(この記事でわかること)

- まだ使っていない土地の借入金利息は経費になるのか
- 駐車場として「貸すつもり」だった土地は不動産所得になるのか
- 税務署・審判所が何を見て判断するのか
- 「予定」「つもり」「口約束」がどこまで危険か
実際にあった裁決事例を、誰でも理解できるレベルまで落として解説します。
まず結論から

👉 結論:この歯科医は負けました。
理由はシンプルです。
- 土地は「事業で使っていない」
- 不動産としても「貸していない」
- つまり
事業用でも、不動産用でもない土地
そのため、
- 借入金の利息 → 経費NG
- 受け取った9万円 → 事業収入でも不動産収入でもない
という判断になりました。
そもそも何が起きたのか?(超ざっくり事実)

登場人物
- 歯科医(個人事業主)
- 税務署
- 国税不服審判所(裁判所みたいなところ)
起きたこと
- 歯科医が
👉「将来、分院を建てる予定」で土地を購入 - その土地を買うために
👉 銀行から借金 - その年に払った
👉 利息 約233万円を経費にした - さらに
👉 不動産屋から9万円を受け取ったので収入に入れた - 税務署が
👉「それ、経費も収入も違うよ」と更正 - 歯科医が
👉「いや、事業用(or 不動産用)だ!」と不服申立て
前提知識①:経費になる条件(超重要)

経費にできるのはどんなお金?
税法ではこう考えます👇
収入を得るために、実際に使ったお金だけが経費
つまり、
❌ いつか使う予定
❌ 将来やるつもり
❌ 気持ちでは事業用
👉 全部ダメ
前提知識②:「事業用資産」って何?

簡単に言うと、
すでに仕事で使っているもの
OK例
- 実際に診療している歯科医院
- 営業中の店舗
- 仕事で使っている機械
NG例
- いつか使う予定の土地
- 将来建てる予定の建物
- まだ着工すらしていない場所
前提知識③:不動産所得になる条件

「貸すつもり」では足りません。
税務的に見るポイントは👇
- 実際に貸しているか?
- 貸せる状態か?
- 貸すための行動が客観的に見えるか?
この歯科医の主張(本人の言い分)

歯科医はこう言いました。
主張①:これは事業用土地だ!
- 分院を建てる予定だった
- だから利息は経費だ
主張②:ダメなら不動産所得だ!
- 駐車場として貸す予定だった
- 不動産屋に「借り手探して」と頼んだ
- 草刈りもした
税務署・審判所の判断(ここが超重要)

① 分院、建ててないよね?
- 工事なし
- 造成なし
- 設計もなし
- 看板立ってるだけ
👉 事業用とは言えない
② 駐車場、貸してないよね?
- 実際に貸していない
- 舗装も砂利もなし
- 駐車場として使えない土地
- 不動産屋との契約なし
👉 不動産貸付でもない
③ じゃあ9万円は何?
- 不動産屋が
「話を続けるために払ったお金」 - 家賃でもない
- 事業収入でもない
👉 雑所得(なんでもない所得)
最終的な税務上の扱い

| 内容 | 結果 |
| 土地 | 事業用でも不動産用でもない |
| 利息233万円 | 経費NG |
| 9万円 | 雑所得 |
| 追徴 | 正当 |
| 加算税 | 正当 |
この事例から学ぶべき教訓(超重要)

教訓①:「予定」は一切信用されない
税務では、
行動していない=使っていない
教訓②:口約束・気持ちは証拠にならない
- 契約書なし
- 募集実態なし
- 看板もなし
👉 全部アウト
教訓③:土地は特に厳しく見られる
- 建物よりも用途が曖昧
- 私用との区別が難しい
- だから税務署は超シビア
実務的アドバイス(これをやらないと危険)

事業用にしたいなら
- 着工
- 工事契約
- 設計
- 明確な事業開始
不動産にしたいなら
- 賃貸契約
- 募集広告
- 貸せる状態
- 実際の賃料収入
まとめ

この事例の本質はこれです👇
税金は「気持ち」ではなく「現実」を見る
- いつか使う → ダメ
- つもりだった → ダメ
- 実際に使った → OK
「将来の予定」を経費にしたい人ほど、
税理士に事前相談しないと高確率で負けます。
※この記事は実際の国税不服審判所裁決を基に、一般向けに解説しています。
「自分も似たケースかも…」と思った方は、申告前に必ず専門家に相談してください。
無申告や税務調査についてわかりやすいYoutubeはこちらから👇

この記事を書いた人

- 公認会計士・税理士
-
所属 公認会計士協会中国会 中国税理士会
公認会計士 第31637号
税理士 第128479号
1977年広島県呉市生まれ。会社が倒産した祖父と同業で起業した父の後ろ姿を見て育つ。青山学院大学経済学部卒業後、大手監査法人で幅広い業種の監査やコンサルティング業務を経験。その後、祖父及び父の経営していたような中小企業や個人事業主・フリーランスを助けるべく奮闘中。
日本全国の無申告・税務調査の対応件数は過去4年間で700件以上。IT/AIを駆使した業務効率化とサービス提供を行い、多くのお客様に最善のサポートを行っている。
最新の投稿
税務調査2026年1月23日【実話】「倒産したから経費にした」は通らない?
税務調査2026年1月14日「いつか使う予定の土地」は経費になる?
税務調査2026年1月5日慰謝料や営業損失補償は本当に非課税?
税務調査2025年12月11日【実録】中間名義を使った不動産売買の末路|約2,700万円の追徴税と重加算税をとられたケースをやさしく解説
