無申告で国民健康保険料はどうなる?申告後に上がる可能性と注意点

無申告と国民健康保険料でお悩みの方へ

無申告で国民健康保険料はどうなる?申告後に上がる可能性と注意点

所得税の確定申告が未申告の状態だと、国民健康保険の保険料が適正に計算されず、本来受けられるはずの軽減措置が適用されないため、割高になる可能性があります。
所得がない場合でも申告は必要です。

過去の未申告分も、期限後申告を行うことで保険料が再計算され、払い過ぎた保険料が還付されるケースがあります。
この記事では、無申告が国保料に与える影響と、その対処法について解説します。

この記事でわかること

  • 無申告だと国民健康保険料が高くなる理由
  • 所得ゼロや赤字でも申告が必要になる理由
  • 期限後申告で国保料が再計算される可能性
  • 申告後に保険料が上がるケースと注意点
  • 未申告に気づいた場合の対応方法

確定申告をしないと国民健康保険料が割高になる理由

確定申告をしない場合、市区町村はあなたの正確な所得を把握できません。
国民健康保険の保険料は前年の所得を基に計算されるため、所得情報がないと適正な算定ができなくなります。
その結果、本来よりも高い保険料が課せられる可能性があります。

所得に応じた保険料の軽減措置が適用されないため

国民健康保険には、世帯の総所得金額が一定の基準を下回る場合に、保険料が7割・5割・2割軽減される制度があります。
しかし、世帯主や加入者のなかに一人でも所得が未申告の人がいると、自治体は所得を把握できず、この軽減措置を適用できません。

たとえ収入がゼロであっても、申告をしなければ所得不明として扱われ、軽減のない満額の保険料が請求されてしまいます。

高額療養費制度における自己負担限度額が引き上がるため

高額療養費制度は、医療機関での窓口負担額がひと月の上限額を超えた場合に、その超えた金額が払い戻される制度です。
この自己負担限度額は所得に応じて区分されており、所得が低いほど負担は軽くなります。
未申告で所得が不明な場合、最も所得が高い「上位所得者」として扱われる可能性があります。

その結果、自己負担限度額が引き上がり、最終的に支払う医療費が高くなることがあります。

所得ゼロや赤字の場合でも国民健康保険のための申告は必要

たとえ事業所得が赤字であったり、収入が全くなかったりする場合でも、国民健康保険の保険料を正しく算定するためには申告が必要です。
収入がないからといって確定申告や住民税申告をしないと、自治体側は所得を把握できず、前述の保険料軽減措置を適用することができません。
その結果、所得がないにもかかわらず、高額な保険料が課せられる事態につながります。

収入がない場合でも「住民税申告」をしないと保険料は安くならない

所得税の確定申告が不要な収入(年間所得が48万円以下など)であっても、国民健康保険料の算定のためには、お住まいの市区町村へ住民税の申告が必要です。
「収入がなかった」という事実を申告することで、自治体は所得を正確に把握し、所得に応じた保険料の軽減措置を適用できます。
この申告を怠ると、軽減が適用されず、本来より高い保険料を支払うことになります。

扶養に入っている場合でも申告が必要になるケース

家族の扶養に入っている場合でも、アルバイトやパートで年間103万円を超える給与収入がある場合や、個人で事業を行って所得がある場合などは、自身で所得の申告が必要です。
申告をしないと、自身の国民健康保険料が正しく計算されないだけでなく、扶養者の税金計算にも影響が及ぶ可能性があります。

収入の種類や金額に応じて、申告義務があるかどうかを確認することが重要です。

過去の無申告分を今から申告して保険料を安くする方法

過去に遡って所得の申告をしていない未申告の状態であっても、今から手続きを行うことで、国民健康保険料の見直しが可能です。
所得税の確定申告を期限後に行う「期限後申告」をすることで、保険料が再計算され、本来の適正な金額に変更できる可能性があります。
期限後申告の基本的な流れについては、無申告の確定申告|やり方をわかりやすく解説でも詳しく解説しています。

期限後申告を行えば保険料が再計算される

申告期限を過ぎてしまった場合でも、「期限後申告」として確定申告書を税務署に提出できます。提出された申告内容に基づき、税務署から市区町村へ所得情報が連携されます。市区町村はその情報をもとに国民健康保険料を再計算しますが、保険料の算定期限(賦課決定の期間制限)により、最初の保険料の納期の翌日から起算して2年を経過した日以降は、当該年度の保険料の変更ができない場合があります。そのため、過去に遡って保険料が再計算され、未申告だったために適用されていなかった保険料の軽減措置が適用される可能性は限定的です。

払い過ぎた保険料が還付されるまでの流れ

期限後申告によって保険料が再計算され、結果的に保険料を払い過ぎていたことが判明した場合、差額は還付されます。
まず税務署へ期限後申告を行い、その情報が市区町村に連携されると、保険料の再計算が行われます。

その後、市区町村から保険料の変更通知書と還付に関する通知が届き、指定した口座へ差額が振り込まれる、という流れが一般的です。
手続きには数ヶ月かかる場合があります。

申告が遅れると延滞税などが発生する可能性もある

過去の所得について期限後申告を行った結果、納めるべき所得税や住民税が発生した場合は、ペナルティが課される可能性があります。
具体的には、本来の税額に加えて、申告が遅れたことに対する「無申告加算税」や、納付が遅れた日数に応じた「延滞税」を追加で納付しなければなりません。
ただし、自主的に申告した場合は加算税が軽減されるため、未申告に気づいたら早めに行動することが重要です。

国民健康保険料のために無申告を解消するときの注意点

無申告を解消すると、保険料が安くなる可能性がある一方で、所得金額によっては国民健康保険料が上がる場合もあります。
また、税務署や市区町村への申告内容に誤りがあると、後から修正や追加納付が必要になることもあります。
不安がある場合は、申告前に資料を整理し、必要に応じて専門家へ相談することが大切です。

所得が増える場合は保険料が上がる可能性もある

期限後申告によって所得が正式に確定すると、その所得に基づいて国民健康保険料が再計算されます。
これまで所得不明として扱われていた場合、軽減が適用されて安くなるケースもありますが、実際の所得が高い場合には、申告後に保険料が上がる可能性もあります。

ただし、保険料の増減だけを理由に申告を避けると、後から税務調査や市区町村からの確認で問題が大きくなるおそれがあります。

何年分を申告すべきか整理してから進める

無申告期間が複数年ある場合、何年分を申告すべきかを最初に整理することが重要です。
所得税の申告と国民健康保険料の再計算では、扱われる期間や期限が異なる場合があります。
売上や経費、収入がなかった年も含めて、年度ごとに状況を確認してから手続きを進めましょう。

自分で判断が難しい場合は税理士に相談する

過去の収入や経費の整理、期限後申告、国民健康保険料への影響を自分だけで判断するのは難しいことがあります。
とくに、複数年の未申告がある場合や、売上・経費の資料が不足している場合は、申告内容を誤ると追加の負担が大きくなる可能性があります。

無申告を税理士に相談するメリットについては、無申告を税理士に相談するメリットとはでも詳しく解説しています。

無申告 国民健康保険に関するよくある質問

所得の未申告と国民健康保険(国保)の関係について、多くの方が抱える疑問にお答えします。
過去の申告忘れや、今後の手続きに関する不安の解消に役立ててください。

国民健康保険料の申告は最大何年前まで遡れますか?

住民税の申告(課税決定)は地方税法に基づき、過去5年分まで遡って行うことが可能です。
そのため、国民健康保険料についても、原則として最大5年度分について所得情報を反映させ、再計算を求めることができます。
これにより、払い過ぎた保険料の還付を受けられる可能性があります。

申告を忘れたままだと、保険証は使えなくなりますか?

所得の未申告という理由だけで、直ちに保険証が使えなくなることはありません。
ただし、未申告によって保険料が本来より高額になり、その結果として保険料を滞納してしまうと、督促状が届いたり、有効期間の短い保険証に切り替えられたりする場合があります。
滞納が続くと、最終的には保険証の代わりに「資格証明書」が交付され、医療費を一旦全額自己負担しなければならなくなります。

確定申告ではなく住民税申告だけでも問題ありませんか?

はい、所得税がかからない所得(例:年間の合計所得金額が48万円以下)の場合は、税務署への確定申告は不要です。
その代わり、お住まいの市区町村役場へ住民税の申告を行ってください。

この住民税申告の内容が国民健康保険料の算定基礎となるため、所得がない場合でも必ず申告することが重要です。

まとめ

所得の申告をしていないと、国民健康保険料の軽減措置が適用されず、本来よりも高い金額を請求される可能性があります。
また、高額療養費制度の自己負担限度額も高くなるなど、保険料以外のデメリットも生じます。
収入がゼロや赤字の場合、あるいは扶養に入っている場合でも、保険料の適正な算定のために住民税の申告が必要です。

過去の未申告分については、最大5年前まで遡って期限後申告を行うことで、保険料が再計算され、払い過ぎた分が還付される可能性があります。
ただし、申告が遅れると延滞税などが発生する場合もあるため、未申告の状態に気づいたら、速やかにお住まいの市区町村役場や税務署に相談してください。

無申告で国民健康保険料が不安な方へ

所得がない場合や赤字の場合でも、申告をしないと保険料の軽減が受けられないことがあります。過去の申告状況と所得資料を整理し、早めに対応しましょう。

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この記事を書いた人

武信 隼人(たけのぶ はやと)
武信 隼人(たけのぶ はやと)公認会計士・税理士
所属 公認会計士協会中国会 中国税理士会
公認会計士  第31637号
税理士 第128479号

1977年広島県呉市生まれ。会社が倒産した祖父と同業で起業した父の後ろ姿を見て育つ。青山学院大学経済学部卒業後、大手監査法人で幅広い業種の監査やコンサルティング業務を経験。その後、祖父及び父の経営していたような中小企業や個人事業主・フリーランスを助けるべく奮闘中。
日本全国の無申告・税務調査の対応件数は過去4年間で700件以上。IT/AIを駆使した業務効率化とサービス提供を行い、多くのお客様に最善のサポートを行っている。

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