無申告だと住宅ローンは組めない?所得証明・納税証明が出せないリスクを解説

無申告と住宅ローンでお悩みの方へ

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無申告だと住宅ローンは組めない?所得証明・納税証明が出せないリスクを解説

個人事業主やフリーランスの方で、所得を未申告のまま住宅ローンの利用を検討している場合、原則として審査の通過は不可能です。
金融機関は返済能力を客観的な資料で判断するため、公的な収入証明となる確定申告の実績が不可欠です。

この記事では、無申告が住宅ローン審査に与える影響と、今からでも審査の土台に乗るための具体的な対策について解説します。

この記事でわかること

  • 無申告だと住宅ローン審査が難しい理由
  • 所得証明書や納税証明書が出せないリスク
  • 住宅ローン申込時に無申告が発覚するタイミング
  • 無申告のまま住宅ローンを組もうとする危険性
  • 期限後申告で審査の土台に乗るための流れ

結論:確定申告をしていないと住宅ローンの審査通過は極めて困難です

結論から言うと、確定申告をしていない個人事業主やフリーランスが住宅ローンを組むことは、極めて困難です。
金融機関は申込者の返済能力を審査する上で、公的に証明された所得額を最も重視します。
確定申告は、その所得を証明するための唯一の手段であるため、これがない状態では審査のスタートラインに立つことすらできません。

理由1:収入を証明する公的な書類が提出できないため

住宅ローンの審査では、申込者の年収を確認するために収入証明書類の提出が必須です。
会社員の場合は源泉徴収票がこれにあたりますが、個人事業主やフリーランスの場合は、税務署の受付印がある確定申告書の控えが公的な収入証明となります。
確定申告をしていなければこの書類を準備できないため、自身の収入を客観的に証明する手段がなくなってしまいます。

理由2:銀行の審査で必須となる「納税証明書」が発行されないため

多くの金融機関では、収入証明書類とあわせて「納税証明書」の提出を求めることがあります。納税証明書は、申告した所得に対して適切に税金を納めていることを証明する公的な書類です。確定申告をしていない場合、一般的に納税証明書は発行されません。これは、納税証明書が「確定申告書等を提出した場合の納税額、所得金額又は未納の税額がないことの証明書」であり、確定申告書等の提出が前提とされているためです。

納税証明書が提出できない場合、審査を通過することが難しくなる可能性があります。

住宅ローン申込時に無申告が発覚する3つのタイミング

未申告の状態は、住宅ローンの申し込み手続きを進める中で必ず金融機関に知られます。
仮に自己申告で収入を伝えても、公的な書類との整合性が取れないためです。
ここでは、無申告が発覚する具体的なタイミングを3つ紹介します。

タイミング1:確定申告書の控えを求められたとき

住宅ローン審査の初期段階で、金融機関から過去2〜3年分の確定申告書の控えの提出を求められます。
これは、収入の金額だけでなく、その安定性を確認するためです。
この書類を提出できない時点で、所得を証明できず、無申告であることが発覚します。

これが最も早く、そして確実に無申告が判明するタイミングです。

タイミング2:市区町村発行の課税証明書との矛盾が判明したとき

金融機関は、確定申告書とあわせて、市区町村が発行する課税証明書(所得証明書)の提出も求めることが一般的です。
未申告の場合、この証明書には所得が記録されていないか、非課税として記載されます。
たとえ口頭で収入額を伝えても、課税証明書の内容と一致しないため、申告内容が虚偽であると判断され、信用を失います。

タイミング3:不動産購入後に税務署から届く「お買いになった資産についてのお尋ね」

仮に何らかの方法でローンを組めたとしても、不動産を購入して所有権移転登記を行うと、その情報は法務局から税務署に通知されます。
後日、税務署から「お買いになった資産についてのお尋ね」という書類が送付され、購入資金の出所について説明を求められます。
この際に自己資金の源泉を合理的に説明できなければ、過去の未申告所得を疑われることになります。

無申告のまま住宅ローンを組もうとする重大なリスク

未申告の状態を放置したまま住宅ローンを申し込む行為には、審査に落ちるだけでなく、ペナルティとして重い追徴課税が課されるリスクがあります。
社会的信用を失うことにもつながり、その後の経済活動に大きな支障をきたす可能性も否定できません。
無申告加算税などの具体的なリスクを理解しておく必要があります。

リスク1:ペナルティとして課される「無申告加算税」と「延滞税」

税務調査などで無申告が発覚した場合、本来納めるべきだった税額に加えて、ペナルティとしての附帯税が課されます。代表的なものとして、納付すべき税額に対して課される「無申告加算税」があります。この税率は、税務署の調査を受けた後に期限後申告をした場合、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの(令和5年分以降)については、納税額300万円を超える部分に30%が適用される場合があります。

さらに、法定納期限の翌日から完納する日までの日数に応じて「延滞税」も発生し、納税負担が大幅に増加します。

リスク2:社会的信用が低くなり他のローン審査にも影響する

無申告を理由に住宅ローン審査に落ちたという事実は、金融機関内での記録に残ります。税務署から納税を催促されても支払わずにいると、財産を差し押さえられる可能性があります。税金の滞納や差し押さえは、原則として信用情報機関に直接登録されることはありませんが、クレジットカードで税金を支払い、そのカード代金を滞納した場合や、口座凍結によって他の引き落としが連続して失敗した場合には、間接的に個人の信用情報に影響を与え、将来的にクレジットカードの作成や他のローン審査で不利になることがあります。

リスク3:国民健康保険料が適正に計算されず高額になる可能性

国民健康保険料は、前年の所得に基づいて算定されます。
未申告で所得が確定していない場合、所得に応じた保険料の軽減措置が適用されません。
その結果、本来受けられるはずの軽減が受けられず、所得に対して割高な保険料を請求される可能性があります。

きちんと申告していれば抑えられたはずの支出が増えてしまいます。

【実践】無申告から住宅ローン審査の土台に乗るための4ステップ

未申告の状態から住宅ローンを組める状態にするためには、過去の所得を正しく申告し、納税義務を果たして公的な証明書類を揃える必要があります。
時間はかかりますが、一つずつ着実に進めることで審査の土台に乗ることが可能です。
ここでは、そのための具体的な手順を4つのステップで解説します。

ステップ1:過去に遡って「期限後申告」を正しく行う

最初に行うべきことは、申告義務があったにもかかわらず行っていなかった過去の所得について、期限後申告をすることです。
確定申告は、法定申告期限を過ぎた後でも手続きが可能です。
原則として過去5年分まで遡って申告できるため、自身の収支がわかる資料を基に、正確な申告書を作成して税務署に提出します。
期限後申告の基本的な進め方については、無申告の確定申告|やり方をわかりやすく解説でも詳しく解説しています。

ステップ2:審査に必要な最低2〜3年分の申告実績を作る

金融機関は、一時的な収入ではなく、継続して安定した収入があるかを重視します。
そのため、住宅ローンの審査では、直近2〜3年分の収入証明を求められるのが一般的です。
したがって、まずは過去2〜3期分の期限後申告を完了させ、納税実績を作ることが、審査を受けるための最低条件となります。

ステップ3:期限後申告で発生した税金をすべて納付する

期限後申告を済ませると、本来納めるべきだった所得税や住民税のほか、ペナルティである無申告加算税や延滞税を含めた納税額が確定します。
次のステップに進むためには、これらの税金をすべて納付しなくてはなりません。

税金に未納があると、納税証明書が取得できず、審査に進むことができないため注意が必要です。

ステップ4:納税証明書を取得して金融機関へ申し込む

確定した税金をすべて納付したら、管轄の税務署へ行き「納税証明書(その1、その2)」を発行してもらいます。この納税証明書と、直近の確定申告書の控えが揃って、ようやく住宅ローン審査の申し込みに必要な書類が整います。これらの書類を提出し、初めて金融機関による本格的な審査が開始されます。

期限後申告をスムーズに進めるためのポイント

過去に遡って確定申告を行う「期限後申告」は、通常の申告よりも手続きが複雑になる場合があります。
特に、何年分もまとめて申告する場合や、帳簿の作成に慣れていない場合は、専門家の力を借りることも有効です。
ここでは、手続きを円滑に進めるためのポイントを解説します。

不安な場合は税理士に相談して正確な申告をサポートしてもらう

過去数年分の収支を正確に計算し、適切な経費を計上して確定申告書を作成するのは、専門知識がないと難しい作業です。
計算ミスや計上漏れが不安な場合は、税金の専門家である税理士に相談しましょう。

正確な申告を代行してもらえるだけでなく、節税に関するアドバイスを受けられるメリットもあります。税理士に相談するメリットについては、無申告を税理士に相談するメリットとはでも詳しく解説しています。

領収書や請求書など所得を証明できる書類を整理・保管する

期限後申告を行うためには、収入額や必要経費を証明するための客観的な資料が不可欠です。
売上がわかる請求書や入金履歴のある通帳、経費として支払ったレシートや領収書などを、年度ごと・月ごとに整理して保管しておきましょう。
これらの書類が、正確な確定申告を行うための基礎となります。

節税効果の高い青色申告を検討する

今後も事業を継続していくのであれば、節税メリットの大きい青色申告の承認を受けることを検討しましょう。
青色申告では、所得金額から最大65万円を差し引ける「青色申告特別控除」や、赤字を翌年以降に繰り越せる制度など、税制上の優優遇措置が多数あります。
事前に税務署へ「青色申告承認申請書」の提出が必要です。

無申告と住宅ローンに関するよくある質問

ここでは、未申告の状態から住宅ローンを検討する際に、多くの方が抱える疑問について回答します。
期限後申告後の審査や、副業の申告漏れなど、具体的なケースについて解説します。

期限後申告をすれば、必ず住宅ローンの審査に通りますか?

いいえ、必ず通るわけではありません。
期限後申告と納税は、あくまで住宅ローン審査のスタートラインに立つための前提条件です。
審査では、申告した所得額や安定性、年齢、健康状態、他の借入状況、個人の信用情報などが総合的に判断されます。

会社員で副業が無申告の場合も住宅ローンに影響はありますか?

はい、影響があります。
給与以外の副業所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。
未申告のままローンを申し込むと、コンプライアンス意識が低いと見なされる可能性があります。

また、副業収入を合算して審査を受けたい場合は、必ず申告が必要です。

何年分の申告をすれば住宅ローンの審査で有利になりますか?

多くの金融機関が直近2〜3年分の収入証明を求めるため、最低でも3年分の申告実績があると収入の安定性を示しやすくなります。
安定して高い所得を維持している実績は、審査においてポジティブな評価につながる可能性があります。

まとめ

未申告の状態では、収入を公的に証明できず、納税義務も果たしていないため、住宅ローンの審査を通過することはできません。
住宅購入を真剣に考えるのであれば、まずは過去に遡って確定申告(期限後申告)を行い、納税を済ませることが不可欠です。

時間はかかりますが、誠実に対応することで審査の土台に乗ることができます。
不安な点は税理士などの専門家に相談し、早期に行動を開始することが重要です。

無申告で住宅ローンに不安がある方へ

住宅ローン審査では、所得証明や納税証明が重要になります。まずは過去の申告状況を整理し、期限後申告と納税を進めることで、審査の土台を整えましょう。

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この記事を書いた人

武信 隼人(たけのぶ はやと)
武信 隼人(たけのぶ はやと)公認会計士・税理士
所属 公認会計士協会中国会 中国税理士会
公認会計士  第31637号
税理士 第128479号

1977年広島県呉市生まれ。会社が倒産した祖父と同業で起業した父の後ろ姿を見て育つ。青山学院大学経済学部卒業後、大手監査法人で幅広い業種の監査やコンサルティング業務を経験。その後、祖父及び父の経営していたような中小企業や個人事業主・フリーランスを助けるべく奮闘中。
日本全国の無申告・税務調査の対応件数は過去4年間で700件以上。IT/AIを駆使した業務効率化とサービス提供を行い、多くのお客様に最善のサポートを行っている。

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