税務調査対策・調査対応時のポイントと、税理士にできること

税務調査対策はできてますか?

いざ税務調査が入ることになったとき、日常から万全な対策ができていることが理想ですが、なかなかそこまでできていない方も多いのではないでしょうか。

実際に、私たちのところに確定申告の相談をいただいた際、「領収書も何も残ってません」とおっしゃる方もそこそこいらっしゃることから、

普段から何をどうしておけば良いのかわからない

という方も多いような印象を受けています。
今回は、「税務調査対策として何をすれば良いのか」「実際の調査時にどのように対応すれば良いのか」といったところを、税務調査の事前通知・無予告調査とは?どう対応すれば良い?の記事と重複する部分もありますが、税理士として協力できることも含めてご紹介します。

税務調査とは

日本では、納税者自らが税額を計算・申告して税金を納める「申告納税方式」がとられています。

「税務調査」とは、この申告が正しく行われ、税金が正しく納められているかどうかを確認するために行われる調査のことです。

調査官がいきなりやって来てドラマのような捜査が行われるというイメージを持っている方も多いかもしれません。

しかし、あれは悪質な脱税事件を暴くために行われる捜査であり、一般的な税務調査とは違って刑事事件として立件することを目的としています。

実際にそのような捜査が行われることは滅多にありません。

税務調査対策のポイント

税務調査対策で最も大切なことは、領収書や請求書、契約書といった書類等を日々整理し、保管しておくことです。これが、日々のお金の動きを収益や費用として会計処理を行った根拠となり、証拠となるからです。

調査官も、これらの書類をもとに事実関係を確認し、処理が適切であるかどうかを判断します。細かく確認されることが多いため、質問されたことに対してしっかりと説明できるように整理しておきましょう。

きちんと整理しておくことによって、調査官から求められた資料を素早く提出することができたり、質問に対して明確に説明することができたりすれば、調査官からの印象も良くなり調査のスムーズな進行に役立つこともあります。

また、プライベートな支出として否認される可能性のある「交際費」や「車などの資産」に関係する費用については、「食事はいつ・誰と行ったのか」「車をいつ・どんな業務で使用したのか」といった記録をきちんと残しておけば、調査官に証拠として提出することができるので、必ず記録として残しておくことを心がけましょう。

税務調査は過去3年分さかのぼって行われることが通常ですが、問題が見つかったことによりさらなる調査が必要と判断された場合は過去5年分、偽りその他不正の行為と呼ばれる悪質な不正があると判断された場合は過去7年分さかのぼって調査されることもあります。

そのため、帳簿書類等の資料は過去7年分は保管しておくのが理想です。
このような書類が全く残っていない場合、経費が認められない可能性があるだけでなく、事業者の資産状況や取引状況から収益についても概算で課税されることもあります。実際はそこまで利益が出ていなくても、状況証拠から税金が課せられてしまうのです。

領収書などの記録・書類が無くても大丈夫?

もし、現在全く書類を保管しておらず、これを読んで危機感を抱いた方は、今からでもできる限りの書類を保管していくことを意識していきましょう。

実際に領収書が存在しない取引もありますし、口約束で始まる取引もあります。

そのような取引でも全く経費にならないということはなく、推計で計上することも可能ではありますが、後からでも記録として残しておいたほうが正確です。

請求書などは再発行が可能なケースもあるので、取引先に問い合わせてみるのも良いでしょう。

領収書も全部捨ててしまい、請求書の再発行もできず、何も打つ手が無くなってしまった方も諦めないでください。

事業を行っている以上、経費がゼロというのはあり得ません。

もし税務調査に入られた場合は、事業上必要な支出であったことをしっかりと主張して、調査官に少しでも経費として認めてもらうよう交渉しなければなりません。

この交渉次第で追徴税額は大きく変わる可能性があります。

今からでも記録を残すようにしていくことで、過去の記録が全く残っていなかったとしても、実際に今ある取引を証明できるようにしておくことで、過去に同様の取引があったことを主張する証拠の足しぐらいにはなる可能性はあります。

また、「以前は適当にしていたけど、今はしっかり記録を取っているんだな」と、調査官に良い印象を持ってもらうことも意外と重要だったりします。

しかしながら、当然ですが嘘の記録は残さないでください。

調査官もプロなのであらゆる資料から嘘を見抜き、経営者が思いもしなかったところから嘘が発覚することもあります。こうなるとこれは明らかな不正になりますので、重加算税が課されることになってしまいます。

経費の架空計上はバレる?調査官は不正を見抜くプロ

こちらも当然ですが、経費を水増しするために架空の費用を計上したり、売上を計上せずこっそり自分の懐に入れたりなどの不正は絶対にやめましょう。

請求書や領収書を偽造して費用を計上しても、調査官が取引先に直接確認を取ればすぐにバレます。

実際に存在しない人を作り上げ、架空人件費を計上していた場合も、調査官が役所に住民税の支払いがあるかを確認するだけでバレてしまいます。

調査官はプロです。どんな不正が行われやすいかは熟知しており、それを見つけ出す術も持ち合わせています。

相当巧妙にすればバレない方法もあるのかもしれませんが、基本的に不正はバレると思っておいてください。

不正行為がバレてしまうと重加算税が課されることになります。

それだけでなく、不正を行ったという前例ができてしまうため、税務署に目をつけられてしまい今後も税務調査の対象に選ばれやすくなってしまいます。

税務調査中はどう対応すれば良い?

調査官は、何とかして追徴税を取ろうとしてきます。

何の根拠もないのに「交際費が他と比べて多いので半分ぐらいにしましょうか」と言ってきて、経営者が「調査官が言うのならそうなんだろう」と思い込んで了承してしまうことで追徴税が発生してしまうこともあります。

今までの記事にも何度か書きましたが調査官の言いなりになってはいけません。そのような誘いに乗らず、必要経費であるならばしっかりと主張しましょう。

税務調査で気をつけることについては、税務調査の事前通知・無予告調査とは?どう対応すれば良い?の記事でもご紹介しています。

今回は違う視点で、他にも気をつけるべきことをご紹介したいと思います。

パソコンを見せて欲しいと言われたら

パソコンには会社のいろんな情報が入っているため、そこから不正を見つけることを目論んで、調査官からパソコンを見せるように言われることがあります。

この場合、国税庁のホームページにも、「帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、提示については、その内容をディスプレイの画面上で調査担当者が確認し得る状態にてお示しいただくことになります。」と記載されていることから、

こちら側が必要なデータを開いて画面上で見せるようにすれば良く、調査官がパソコンを直接触る権限がないことが確認できます。

(引用: 国税庁-税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け))
よって、調査官からパソコンを見せるよう言われたときは、「必要な書類を開いた画面を見せる」もしくは、「必要なら印刷してお渡しします」と対応すれば大丈夫です。

税務調査における「おみやげ」とは?

税務調査における「おみやげ」とは、すぐに見つかるようなミスをわざと準備しておいてそれを調査官に見つけさせ、それを「おみやげ」にして税務調査を早く終わらせてもらおうとすることを言います。

調査官は追徴税を取るというノルマを課されています。より多くの否認をしたほうが評価されるため、ミスを見つけるためにいろいろなことを聞いてきます。

そんな調査官から、あれやこれやと追及されるのを避けるためにあえて準備した簡単なミスを見つけてもらって、さっさと帰ってもらおうということです。

しかし、「おみやげ」にはほとんど効果がありません。

「おみやげを用意しておくと良いというのは都市伝説だ」とも言われています。
むしろ、こんな簡単なミスがあるならもっと大きなミスあるいは不正があるかもしれないと調査官から思われ、余計にあれこれ調査されてしまい、結果的に多額の追徴税を取られてしまう可能性もあります。

調査官に対して不満があるときは

調査官の中には、高圧的に話してくる人や態度が悪い人がいるのも事実です。

あまりにも調査官が高圧的で、その人からの税務調査を受けるのが精神的に苦痛などの事情がある場合は、調査官を交代してもらえることがあります。

「納税者支援調整官」というものが各地の国税局に設置されており、税務調査における処分に対する不服申し立てや職員の応対・調査の仕方などいろいろな不満を聞いてくれるようになっています。

まずは、こちらに相談してみると良いです。

しかし、ここに相談したからと言って必ず調査官を交代してもらえるかはわかりません。
納税者支援調査官に全く対応してもらえない場合は、調査官の上司である統括官や税務署長に直接書面を送るなどして訴えると効果的です。

税務調査に税理士が立ち会うメリット・デメリット

追徴税額は、調査官と上手く交渉することで低くなる可能性があります。

ただ、調査官相手にどうやって交渉すれば良いかわからない、そんな自信がないという方がほとんどではないかと思います。

税理士に相談していただく一番のメリットは、やはり税に関する専門家としての知識を活かし、調査官と交渉ができることだと思います。

調査官の言いなりになることなく、主張するところは主張し、どこで折り合いをつけるのが最も良い結果となるのかを見極める術を持っています。

また、全て自分で調査官とやり取りしなければいけないという不安も軽減され、経営者の皆さまの負担を減らすことができると考えています。

たしかに、税理士に立ち合いを頼むとそれなりに多額の費用が発生するというデメリットもありますが、結果的にそれ以上に追徴税を抑えることができればデメリットは無くなります。

その他、税務調査時の立ち会いに限らず通常行う確定申告のご依頼もいただければ、日々の会計業務の負担を減らし、適切な申告を行うお手伝いをさせていただくことも可能です。

この適切な申告こそが、1番重要な税務調査対策でもあります。

確定申告や税務調査について不安がある方は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。

税務調査の立ち会いを、税理士にご依頼いただく際のお願い

もし、私たちに立ち会いをご依頼いただける場合には、状況を把握させていただくために事前に打ち合わせを行います。

その際に、もし不正を行っている事実があるのであれば、隠さずに伝えてください。事前に伝えておいていただくことで何かしらの対策ができることもありますが、いざ調査が始まってから不正が見つかるとどうしようもありません。

税務調査対策には事前準備が非常に重要となるため、やってしまったこと・これはどうかなと思うことなど気になるポイントがあれば、必ず伝えていただくようご協力をお願いいたします。

まとめ

■税務調査対策で最も大切なことは、領収書や請求書、契約書といった書類等を日々整理し、保管しておくことです。

■プライベートな支出との区別がつきにくい「交際費」や「車などの資産」に関係する費用については、「食事はいつ・誰と行ったのか」「いつ・どんな業務で使用したのか」といった記録を残しておくようにしましょう。

■現在全く書類を保管しておらず、危機感を抱いた方は、今からでもできる限りの書類を保管していくことを意識していきましょう。

■何も記録が無い状況で税務調査に入られた場合は、事業上必要な支出であったことをしっかりと主張して、調査官に少しでも経費として認めてもらうよう交渉しなければなりません。この交渉次第で追徴税額は大きく変わる可能性があります。

■税務調査中にパソコンを見せて欲しいと言われたら、「必要な書類を開いた画面を見せる」か「必要なら印刷してお渡しします」と対応すれば大丈夫です。

■「おみやげ」にはほとんど効果はありません。

■調査官があまりにも高圧的などの理由があれば、調査官を交代してもらえる可能性があります。

■税理士に税務調査の立ち会いを依頼すると、それなりに費用がかかるというデメリットはありますが、税に関する専門家として調査官と交渉し、結果的にそれ以上に税額が安くなればデメリットは無くなります。

■税務調査を受ける際には事前準備が重要です。もし不正を行っている事実があるのであれば、事前の打ち合わせの際に必ずお伝えください。

税務調査対策や調査対応時のポイントをご紹介しましたが、なかなか自分1人だけでは難しいなと思われる方も多いのではないでしょうか。

確定申告や税務調査について不安がある方は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

税理士法人CUBE
税理士法人CUBE
ITシステムの導入をクラウド会計に止まらず自社でも導入しているのが特徴です。SFAやMAツールによりフロント業務もクラウド型システムを導入しています。ITを使い倒して行きましょう!

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