知っておきたい!税務調査で指摘されるポイントとは?~交際費~

なぜ、税務調査で交際費が争点になりやすいのか

交際費は税金の計算上、原則として損金不算入(経費として計上できない)とされています。

ただ、損金として計上できる特例があったり、何が交際費になるのかがわかりにくい部分があったりするため、税務調査で争点になることが非常に多い項目になります。

細かいところまで書いていくとキリが無いので、

「どんなものが交際費になるのか」

「交際費が経費として認められる範囲について(損金算入限度額)」

「交際費(接待飲食費)に関わる論点」

「交際費と区別が難しい「会議費」とは」

に絞って、少し難しくなるかもしれませんが、できるだけ簡潔にご紹介したいと思います。

※本記事は2021年12月27日時点での規定を記載していることにご留意ください。

どんなものが交際費になるのか

どんなものが交際費になるのか、いきなりですが条文から見ていきましょう。

「交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう。(租税特別措置法第61条の4)」

と規定されており、さらに

①支出の相手方が事業に関係のある者等である

②支出の目的が事業関係者との親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図ることにある

③行為の形態が接待、供応、慰安、贈答等に類する行為であること

の3つの要件が備わっている必要があるとされています(3要件説)。

以上から、「事業に関係がある支出であること」が特に重要であると言えます。

なぜ交際費が税務調査において争いのポイントになるかというと、本来は経費として計上することができないプライベートな支出が、交際費として計上されていることが多いからです。

よくある例としては、社長のゴルフ代が交際費になるかどうかです。

取引先との親睦を深めるためのものであれば交際費として計上できますが、友人と遊びで行った場合には基本的には交際費にはできません。

もし、友人とのゴルフでも事業につながる部分があるのであれば、そのことを主張できるようにしておかなければなりません。

交際費等の範囲に関するその他のポイントについては、国税庁のホームページに詳しく記載されているので、以下のURLをご参照ください。

(国税庁-第1款 交際費等の範囲)

交際費が経費として認められる範囲について(損金算入限度額)

冒頭部分で、「交際費は税金の計算上、原則として損金不算入(経費として計上できない)」と書きましたが、それでは交際費について争いになることは無いはずです。なぜ争いになるのかというと、経費として計上できる特例が定められているからなのです。どのように定められているかをご紹介します。

中小法人

中小法人とは、期末資本金の額が1億円以下(資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人による完全支配関係がある子会社等は除く)の法人のことを言います。

中小法人の場合、

①年間800万円

②接待飲食費の50%

のどちらかを選択して、交際費を経費として認めてもらうことができます。

より多く経費として認めてもらえるほうを自由に選択することができます。

(計算例)

1.交際費の合計が600万円(内訳:接待飲食費300万円、その他300万円)

 ①を選択した場合:600万円全額

 ②を選択した場合:300万円×50%=150万円

が経費として認められるため、①を選択したほうが有利になります。

2.交際費の合計が2500万円(内訳:接待飲食費2000万円、その他500万円)

 ①を選択した場合:800万円

 ②を選択した場合:2000万円×50%=1000万円

が経費として認められるため、②を選択したほうが有利になります。

※どういったものが「接待飲食費」に該当するのかは、後述します。

期末資本金1億円超~100億円以下の法人

接待飲食費の50%が経費として認めてもらうことができます。

こちらは、年間800万円の特例は使えません。

期末資本金100億円超の法人

接待飲食費の損金算入特例の対象から除外されており、交際費の全額が経費として認められません。

個人事業主

個人事業主の交際費には法人の場合のような上限は設けられておらず、全額が経費として認められることになります。

ただし、事業の規模・売上等に比べてあまりにも多額の交際費が計上されている場合には税務調査の際に指摘される可能性があります。

繰り返しになりますが、法人・個人事業者に関わらず交際費は税務調査の際に争点になることが多い項目です。

飲食の場合は、「誰と・いつ・どこで」飲食をしたのか領収書等に記録しておくと良いでしょう。

また、取引先に贈答等を行った場合も、事業上必要なものであったことを証明できるよう準備しておきましょう。

交際費(接待飲食費)に関する論点

さきほど、中小法人や期末資本金100億円以下の法人において「接待飲食費の50%」が経費として認めてもらえる特例があると述べました。

接待飲食費に関して、似たようなものなのに取り扱いが異なるものがあるのでご紹介します。

それは、「社内飲食費」「少額飲食費」です。

どのような関係にあるかというと、

①交際費に該当するもの  ■接待飲食費 → 50%まで経費算入の特例あり

             ■社内飲食費 → 50%まで経費算入の特例なし

                    

②交際費に該当しないもの ■少額飲食費 → 経費算入可能

となります。

「社内飲食費」は接待飲食費ではないので50%まで経費に計上できる特例は使えませんが、中小法人における年間800万円の特例を選択した場合は、経費として計上できる交際費の中に含まれることになります。

「少額飲食費は」そもそも交際費ではないので、特例関係なく経費に計上できますが、「その飲食に参加した得意先、人数、金額」などを記載した書類を保存しておく必要があります。

少額飲食費に限らず、接待飲食費・社内飲食費の場合も記録は残しておきましょう。

では、それぞれどんなものが該当するのか、詳しくご紹介します。

接待飲食費

接待飲食費とは、飲食等のために支出した費用のうち、社内飲食費を除いて1人あたり5000円を超えるものを言います。

社内飲食費

社内飲食費とは、飲食費のうち、法人の役員・従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出したものを言います。

取引先が参加しておらず、会社関係者のみで行われた飲食が該当します。

ただ、忘年会など会社関係者のみで行われていても、関係者全員に参加の機会が保障されているなど、ルールに則って行われた場合は「福利厚生費」として経費に計上することができるケースもあります。

少額飲食費

社内飲食費を除く接待飲食費のうち、参加者1人あたりの飲食費が5000円以下となる場合は、「少額飲食費」に該当し交際費から除かれるため、特例関係なく経費として認めてもらうことができます。

1人あたり5000円を超えた場合は、超えた部分のみが接待飲食費になるのではなく、飲食に要した全額が接待飲食費に該当することになります。

もし、法人が税込経理を採用している場合は、1人あたり5500円以下が基準になります。

少額飲食費として処理するために、参加者を水増しして記録していることがバレると「重加算税」を課される可能性があるので注意してください。

交際費と区別が難しい「会議費」とは

交際費に似た論点として、「会議費」というものがあります。

会議中に飲食を伴った場合に、通常要すると認められる範囲での費用は、交際費ではなく「会議費」として経費計上することができます。

交際費ではないので、上述した損金算入限度額の計算は必要ありません。

「通常要すると認められる範囲」とはどれぐらいなのかと思われる方もいると思います。ただ、これは明確に金額が定められているものでは無いので、「何円以内に」と言うことができません。

世間一般的に考えて、高額であると判断されれば否認されることになります。

また、会議としての実体を備えている必要もあります。

こちらも、「日時・場所・参加者・会議の議事録」など、会議としての実体を備えていることを証明する記録が必要です。

開催場所が居酒屋であるなど会議を行う場所として不適切と判断された場合や、金額が大きく飲食が主な目的であると判断された場合は、交際費に含められる可能性もあります。

まとめ

■本来は経費として計上することができないプライベートな支出が交際費として計上されていることが多いため、税務調査で争点になることが多い項目になります。

■調査官から疑われた場合は、どのように事業と関係しているかどうかを説明できるようにしておきましょう。普段から支出の相手先や内容等を記録しておくと、いざというときに役に立ちます。

■交際費は税金の計算上、原則として損金不算入(経費として計上できない)ですが、経費として計上できる特例が定められています。何円まで経費にできるかどうかは、法人の規模や個人事業主であるかどうかによって異なります。

■接待飲食費・社内飲食費・少額飲食費は、似たような名前をしていますがそれぞれ取り扱いが異なります。飲食に参加したメンバー、人数、金額等によって判断されるため、記録に残しておくことが重要です。

■会議中に飲食を伴った場合に、通常要すると認められる範囲での費用は、交際費ではなく「会議費」として経費計上することができます。こちらも同様になりますが、「日時・場所・参加者・会議の議事録」など、会議としての実体を備えていることを証明する記録が必要です。

■交際費に関しては、ここで書いたこと以外にも論点が多く判断が難しいため、税務調査で疑われることが多いところです。

税務調査の対応に不安がある方は、お気軽に弊社までご相談ください。

この記事を書いた人

税理士法人CUBE
税理士法人CUBE
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