税務調査で重加算税の指摘を受けた!重加算税は回避できるのか?

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重加算税を回避することはできるのか

税務調査で修正申告が必要に。どんなペナルティを受ける?という記事で、いろいろな加算税についてご紹介しました。

なかでも「重加算税」が課されると大きなダメージを受けてしまいます。

多額の税金を支払うことになるだけでなく、不正をしたという前例ができることにより税務署に目をつけられてしまい、それ以降の税務調査に入られやすくなるとも言われています。

調査官は多額の追徴税を課したり、不正を多く発見したりすると高い業績評価を得ることができるため、何とかして重加算税を指摘しようと意気込んでやってきます。

もし重加算税の指摘を受けてしまったら、言われるがままに受け入れなければいけないのでしょうか。

そんなことはありません。

この重加算税は場合によっては回避できる可能性があります!

いったいどうすれば回避することはできるのでしょうか。

今回はこの「重加算税」について詳しくご紹介したいと思います。

重加算税とは

過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税が加算される場合で、それらが「仮装や隠ぺい」により行われたものであるとされた場合に、それぞれの加算税に代わって以下の割合で課税されます。

①過少申告加算税に代わって、35%の加算

②無申告加算税に代わって、40%の加算

③不納付加算税に代わって、35%の加算

※過去5年以内に同じ税目に対して無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合は、さらに10%が上乗せされることになります。

※令和3年度の税制改正により、仮装・隠ぺいによる不正が電子データに関連して見つかった場合には、さらに10%が上乗せされることとなりました。

例)確定申告はしていたが税額を過少に申告しており、税務調査によって1000万円の追徴課税が決定した。しかも、仮装・隠ぺいを行っていたため重加算税の対象となった場合。

1000万円(本税)× 35%(過少申告加算税に代わる重加算税の割合)=350万円

となり、1000万円に加えて350万円もの支払いが課されることになります。

さらに、その期間に応じた延滞税も課されますが、複雑な計算になるためここでは割愛します。

延滞税について詳しく知りたい方は、国税庁のホームページ等でお調べください。

(参考:国税庁-延滞税の計算方法

重加算税の賦課要件となる仮装・隠ぺいとは

国税通則法第68条に「国税の課税標準又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し・・・」と規定されているように、重加算税が課されるかどうかは「仮装・隠ぺい」があったかどうかがポイントです。

「仮装・隠ぺい」と判断される場合の例示として、

 ■二重帳簿を作成している

 ■帳簿書類を破棄または隠匿している

 ■帳簿書類を改ざんしている

 ■売上をごまかしている

 ■簿外資金をもって役員賞与その他の費用を支出している

 ■経費を架空計上している

といったことが挙げられます。

簡単に言うと、税金を安く抑えるためにあれこれ操作して、ごまかして申告しているということです。

先ほど挙げたのはあくまでも例示のため、他にも様々なケースが考えられます。

ここで、大切なポイントがあります。

重加算税に該当するかどうかで大切なことは、これらの「仮装・隠ぺい」が不正を行うことを「意図して」行われているかどうかです。

例えば、売上が一部計上されていない等の理由により、利益が過少に申告されているのは「単なるミス」なのか「意図的に」行われたことなのかによって、重加算税が課されるかどうかが変わってくるのです。

ここに、調査官から指摘された重加算税が回避できるかもしれないという理由があります。

重加算税を回避する方法とは

繰り返しになりますが、調査官が重加算税を課すためには「仮装・隠ぺい」が「意図的に」行われているかどうかが重要なポイントになります。

そのため、「単なるミスで計上が漏れていた」「勘定科目を間違えていた」といった意図的では無いミスの場合、仮装・隠ぺいにはあたらないことになります。

しかし、このように意図的ではないミスの場合であっても、多くの追徴税を取って帰りたい調査官は、意図的であるという証拠もないまま重加算税の対象になると指摘してくるのです。

ここで、調査官がそう言うのならしょうがないか……と言われるがままに受け入れてしまうと、本当は回避できたかもしれない重加算税が課されることになってしまいます。

指摘された内容が、意図的に行った仮装・隠ぺいではないのであれば、調査官の言いなりになってはいけません。

意図的なものではないため、重加算税の対象にはならないということをしっかりと主張しましょう。

それでも調査官が重加算税を指摘してくる場合は、争点になっている不正が「意図的な仮装・隠ぺい」であることを調査官に証明してもらうよう請求しましょう。

つまり、不正が意図して行われているかどうかを立証する責任は、納税者側ではなく、調査官側にあるのです。

それなのに、特に調査官からの立証もないままに、本来なら重加算税を回避できたはずの単純なミスでも、調査官の言いなりになってしまったことで重加算税を課されたというもったいないケースもあります。

まとめると、明らかな不正を行った場合は正直に白状した方が良いのは当然ですが、不正を意図していないミスにより重加算税の指摘を受けた場合は、安易に調査官の言いなりになるのではなく、しっかりと自分の意見を主張することで重加算税を回避できる可能性があります。

100%重加算税を回避できるわけではありません

先ほど述べたような方法で、実際に重加算税を回避できることもあります。

しかし、「仮装・隠ぺい」が意図的でなかったとしても、全てが回避できるわけではないことはご了承ください。

疑われるようなことをしていないか、常に注意しておくことが一番重要です。

重加算税の証拠になる申述書とは

調査官から、不正を行ったことについて申述書の記載が求められることがあります。この申述書が曲者で、記載してしまうと重加算税を課したい税務署側の証拠として使用されることになります。

不正が意図して行われているかどうかを立証する責任は調査官側にあると書きましたが、その立証のために記載を求めてくるのです。

つまり、現状持っている証拠では、不正が意図して行われているかどうかを立証するには足りないと考えた調査官が、不正を行った旨を経営者自身に書かせることで、証拠の足しにしてしまうということです。

このような書類は法的に定められた文書ではないため、提出や署名の必要はありません。

したがって、不正の有無について税務署側と意見が食い違っている場合は、言いなりになって申述書を書いてはいけません。

実際に、調査官に無理やり申述書を書かされ、多額の重加算税を課されたケースも存在しています。

専門家である調査官から高圧的な態度でこのような指摘をされたら、何も抵抗できずに言われるがままになってしまうのは仕方がない部分もあります。

こういった事態を防ぐためにも、調査官との交渉に不安がある場合は税理士にご相談ください。

税務調査に税理士が立ち会うメリット・デメリット

上述してきたように、重加算税を課されるかどうかは調査官との交渉次第で変わってくることがあります。

ただ、専門家である調査官相手にどうやって交渉すれば良いかわからない、そんな自信がないという方がほとんどではないかと思います。

税理士に相談していただく一番のメリットは、やはり税に関する専門家としての知識を活かし、調査官と交渉ができることだと思います。

調査官の言いなりになることなく、主張するところは主張し、どこで折り合いをつけるのが最も良い結果となるのかを見極める術を持っています。

また、全て自分で調査官とやり取りしなければいけないという不安も軽減され、経営者の皆さまの負担を減らすことができると考えています。

たしかに、税理士に立ち合いを頼むとそれなりに多額の費用が発生するというデメリットもありますが、結果的にそれ以上に追徴税を抑えることができれば、費用面のデメリットは無くなります。

税務調査に対して不安のある方は、ぜひ弊社まで気軽にご相談ください。

まとめ

■重加算税が課されると、多額の税金を支払うことになるだけでなく、不正をしたという前例ができることにより税務署に目をつけられてしまい、それ以降の税務調査に入られやすくなると言われています。

■重加算税は場合によっては回避できる可能性があります。

■重加算税が課されるかどうかは、「仮装・隠ぺい」があったかどうか、その仮装・隠ぺいが「意図的に」行われているかどうかによって決まります。よって、意図的では無い単なるミスの場合は仮装・隠ぺいにはあたらないことになります。

■このように意図的ではないミスの場合であっても、調査官は重加算税の対象になると指摘してくることがあります。ここで調査官の言いなりになるのではなく、意図的な不正ではないことをしっかりと主張することで、重加算税を回避できる可能性があります。

■調査官から、不正を行ったことについて申述書の記載が求められることがあります。安易に記載してしまうと重加算税を課したい税務署側に不正の証拠として使用されることになるので、不正の有無について税務署側と意見が食い違っている場合は、言いなりになって申述書を書いてはいけません。

■税理士に立会いを依頼することで、税に関する専門家としての知識を活かし、調査官と交渉することができます。全て自分で調査官とやり取りしなければいけないという経営者の皆さまの不安を減らすこともできると考えています。

税務調査に対して不安のある方は、ぜひ弊社まで気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

税理士法人CUBE
税理士法人CUBE
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