無申告を税理士に相談するメリットとは?費用・必要資料・解決までの流れ

「何年も確定申告をしていない」
「税務署から連絡が来るのが怖い」
「領収書が残っていないので相談できない」

こうした不安から、申告を先延ばしにしていませんか。

申告期限を過ぎていても、今から申告に向けて動くことはできます。税理士に相談すれば、申告が必要な年分や税金の見通し、資料が不足している場合の対応を整理できます。

この記事では、無申告を税理士に相談するメリット、依頼先の選び方、費用の確認ポイント、相談から申告・納税までの流れを解説します。

目次

無申告を税理士に相談しても大丈夫?守秘義務について

「相談したら税務署に通報されるのでは」と心配する方もいますが、税理士は、無申告の相談を受けたことだけを理由に税務署へ通報する立場ではありません。

税理士には、税理士法第38条に基づく守秘義務があります。業務上知り得た秘密を、正当な理由なく第三者に漏らすことは禁止されており、税理士でなくなった後もこの義務は続きます。

過去の無申告や資料の紛失など、話しにくい事情も含めて相談してください。正確な状況が分かるほど、必要な手続きや対応方針を整理しやすくなります。

ただし、守秘義務があることと、売上を隠したり、架空の経費を計上したりできることは別です。税理士は、事実と資料に基づいて適正な申告を支援します。

無申告を放置するとどうなる?早めに対応したい3つの理由

1.本来の税金に加えて、加算税や延滞税が発生することがある

申告義務があるのに期限までに申告していない場合、本来納める税金に加えて、無申告加算税や延滞税がかかることがあります。

無申告加算税は、申告する時期によって負担が変わります。所得税について、税務署から調査の事前通知を受ける前に自主的に期限後申告をした場合は、原則として納付すべき税額の5%です。

一方、調査による決定を予知した後に申告した場合などは、より高い税率が適用されます。令和5年分以降の所得税における基本的な税率は、次のとおりです。

※スマートフォンでは表を横にスクロールできます。

申告のタイミング 50万円までの部分 50万円超~300万円までの部分 300万円を超える部分
調査の事前通知前に自主的に申告 5% 5% 5%
事前通知後、調査による決定を予知する前に申告 10% 15% 25%
調査による決定を予知した後に申告、または税務署が決定 15% 20% 30%

※割合をかける対象は売上や所得ではなく、納付すべき税額です。上記は基本的な取扱いであり、繰り返しの無申告や帳簿の不提示などによる加重措置、一定の要件を満たす場合の不適用があります。令和4年分以前の所得税は一部の税率が異なります。

延滞税も、納付が遅れた期間などに応じて発生します。「いくらになるか分からない」と放置するより、まずは申告内容と納税額の見通しを確認することが大切です。

2.融資や各種手続きに必要な書類をそろえにくくなる

事業融資や住宅ローンの審査などでは、確定申告書や所得・納税に関する証明書の提出を求められることがあります。

無申告のままだと、必要な申告書の控えを提出できなかったり、所得を適切に証明できなかったりして、審査や手続きに支障が出る可能性があります。

事業の許認可に関する手続きでも、決算書や納税関係の書類が必要になる場合があります。ただし、無申告であれば一律に融資が停止されたり、許認可が取り消されたりするわけではなく、制度や個別の状況によって扱いは異なります。

3.年数が増えるほど、資料の確認や納税資金の準備が難しくなる

申告していない年が増えると、確認すべき取引や作成する書類も増えます。古い明細を取得できなくなったり、取引内容を思い出せなくなったりすることもあります。

また、複数年分の税金がまとまって判明すると、納税資金の準備が大きな負担になります。

資料もお金も、すべてそろってから相談する必要はありません。
今の状況で何から着手できるかを確認し、対応を進めましょう。

無申告を税理士に相談する4つのメリット

メリット1.申告が必要な年分と手続きを整理できる

無申告といっても、必要な対応は人によって異なります。事業を始めた時期、各年の売上や経費、給与収入の有無、過去の申告状況などを確認する必要があります。

税理士に相談すれば、所得税だけでなく、消費税などの申告が必要かも含めて確認できます。法人の場合は、法人税や地方税なども整理します。

「何年分を申告するのか」「何の資料を集めるのか」が明確になることで、手をつけられずにいた状態から進みやすくなります。

メリット2.早期の申告に向けて準備を進められる

税務署から調査の事前通知を受ける前に自主的に申告できれば、無申告加算税の負担が軽くなる場合があります。

税理士は、必要資料の確認、帳簿の作成、税額の計算、申告書の提出を支援します。複数年分の申告でも、作業の順序や不足資料への対応を整理できます。

相談・契約だけでは、自主申告としての取扱いは確保されません。
実際の申告時点や調査の状況などによって判断されるため、相談後も資料の提出や確認を速やかに進めることが重要です。

メリット3.経費や控除を確認し、適正な税額で申告できる

過去の申告を自分で進める際、必要経費や所得控除を見落としたり、反対に経費にできない支出を含めたりすることがあります。

税理士は、取引の内容や資料を確認し、事業に必要な経費、社会保険料控除、扶養控除など、適用できる項目を整理します。

ただし、期限後申告では使えない制度もあります。例えば、55万円・65万円の青色申告特別控除は期限内の申告が要件のため、期限後申告では適用できません。青色申告の承認状況などによっては、10万円の控除を検討できる場合があります。

無申告を税理士に依頼する目的は、無理に税金を減らすことではなく、適用できる制度を確認し、正しい税額で申告することです。

メリット4.税務署への対応や申告後の相談を依頼できる

税務署から連絡が来ている場合は、書面や電話の内容を確認し、どのように対応するかを税理士に相談できます。

税務代理を依頼すれば、依頼範囲に応じて税務署との連絡、日程調整、税務調査の立ち会い、資料の説明などを任せられます。ただし、本人にしか分からない取引については、説明や確認への協力が必要です。

申告後の資料保存や今後の申告についても相談できるため、無申告を繰り返さない体制づくりにつながります。税務調査への対応が別契約・別料金になるかは、事前に確認しましょう。

税務署と税理士、無申告はどちらに相談すればいい?

税務署でも、申告方法や納付に関する相談を受け付けています。税務署に相談すること自体が不利になるわけではありません。

一方で、税務署は依頼者の代理人として帳簿を作成したり、複数年分の申告作業を請け負ったりする窓口ではありません。

税理士への相談を検討したいケース
  • 複数年にわたって申告していない
  • 帳簿がなく、売上や経費の集計から依頼したい
  • 領収書や請求書が不足している
  • 消費税の申告が必要か分からない
  • 税務署から連絡が来ており、対応に不安がある
  • 本業が忙しく、自分で申告作業を進めることが難しい

すでに税務署から回答期限などを指定されている場合は、連絡を放置せず、その期限も税理士に伝えてください。

領収書がなくても相談できる?準備しておきたい資料

領収書や帳簿がそろっていなくても、相談はできます。資料が不足していることを理由に、相談まで先延ばしにする必要はありません。

例えば、次のような資料が売上や経費を確認する手がかりになります。

  • 銀行口座の通帳・入出金明細
  • クレジットカードの利用明細
  • 請求書・契約書・取引先からの支払明細
  • ネットショップや決済サービスの売上履歴
  • ネット通販の購入履歴・領収書データ
  • 取引先とのメールやメッセージ
  • 過去の申告書・届出書・税務署からの書面

どの資料が使えるかは、取引内容によって異なります。銀行や取引先などから再取得できる資料がないかも確認します。

ただし、資料がない支出をすべて経費にできるわけではありません。事業との関係や金額の根拠を確認しながら、申告内容を整理します。

無申告の相談から申告・納税までの5ステップ

ステップ1.現在の状況を相談する

申告していない期間、仕事内容、各年のおおよその売上、残っている資料、税務署からの連絡の有無を伝えます。

正確な金額が分からなければ、初回相談では分かる範囲で構いません。「何が分からないのか」も含めて相談してください。

ステップ2.対応範囲と見積もりを確認する

申告が必要な年分や税目、帳簿作成の範囲、資料の収集方法、費用、申告までの見通しを確認します。

特に、記帳代行料、消費税申告料、資料のスキャン代、税務調査の立ち会い料などが見積もりに含まれているかを確認しましょう。

税理士報酬と、税務署などに納める税金は別の支払いです。費用を検討する際は、それぞれ分けて考える必要があります。

ステップ3.契約後、必要な資料を集める

依頼内容に納得したら契約し、税理士の案内に沿って資料を準備します。

資料が不足している場合は、代わりに確認できるものや再取得の方法を相談します。自己判断で資料を捨てたり、内容を書き換えたりせず、残っている状態で共有しましょう。

ステップ4.帳簿・申告書を作成し、内容を確認する

税理士が資料をもとに売上や経費を整理し、帳簿や申告書を作成します。確認が必要な取引については、依頼者へ質問が行われます。

提出前に、売上・経費・所得・税額などの説明を受け、内容を確認します。申告時に必要な納税資金についても、この段階までに相談しておきましょう。

ステップ5.申告書を提出し、納税する

確認した申告書を提出し、納付手続きを進めます。所得税の期限後申告では、原則として申告書を提出した日が納期限となります。

一括納付が難しい場合は、換価の猶予や納税の猶予などを利用できるか確認します。要件や審査があるため、希望する分割納付が必ず認められるわけではありません。

申告と納税の両方を見据えて進めましょう。
申告書を提出しても、未納の税金がなくなるわけではなく、その後の税務調査が免除されるわけでもありません。納税が難しい事情は早めに伝えてください。

無申告を相談する税理士の選び方

1.無申告や資料不足の案件に対応しているか

過去の複数年分の申告や、帳簿・領収書が不足している案件を扱っているか確認しましょう。

相談時には、「この資料の状態で対応できるか」「不足資料はどう補うか」「どのような順序で進めるか」を質問すると、具体的な対応方針を確認できます。

2.申告後や税務調査の対応範囲が明確か

申告書の提出までを依頼するのか、提出後の税務署からの問い合わせや税務調査も依頼できるのかを確認します。

税務調査への対応力は、経歴だけで判断せず、実際の対応経験や説明の分かりやすさ、連絡体制も含めて見極めましょう。

「必ず税金が安くなる」「絶対に税務調査が来ない」といった結果を保証する説明には注意が必要です。

3.総額と追加料金の条件が分かるか

「1年分の申告料」だけでなく、依頼する作業全体でいくらかかるかを確認しましょう。

確認する項目 見積もりで確認したい内容
申告の対象 何年分・何税目の申告が含まれるか
帳簿作成 記帳代行や資料整理の費用が含まれるか
消費税 消費税申告が必要になった場合の追加費用
資料の提出 郵送資料のスキャン代などが発生するか
税務署対応 問い合わせ対応や税務調査の費用が含まれるか
支払い条件 支払い時期と分割払いの条件

見積もりの前提となる売上や資料の量が変わった場合、料金がどう変わるかも確認しておくと安心です。

無申告を税理士に依頼すると費用はいくらかかる?

費用は、個人か法人か、申告する年数、売上規模、取引件数、資料の整理状況、消費税申告の有無などで変わります。

同じ「1年分の申告」でも、集計済みの帳簿をもとに申告書を作る場合と、過去の通帳や領収書から帳簿を作る場合では、作業量が異なります。

金額だけで比較せず、どこまで任せられる料金なのかを確認することが重要です。

個人事業主・フリーランスの場合

所得税の申告に加えて、記帳代行や消費税の申告が必要になる場合があります。給与所得や不動産所得などがある方は、その内容も見積もり時に伝えてください。

複数年分を依頼する場合は、各年の費用と合計額、今後の申告も継続して依頼する場合の料金を確認しましょう。

法人の場合

決算書の作成に加え、法人税・法人住民税・法人事業税などの申告が必要になります。消費税や源泉所得税などの確認が必要になるケースもあります。

申告していない期の資料だけでなく、過去に提出した決算書や申告書、設立時の届出書なども確認するため、手元にある書類を伝えたうえで見積もりを依頼しましょう。

無申告の税理士相談でよくある質問

Q.何年分さかのぼって申告する必要がありますか?

申告していない期間や税目、過去の手続きなどによって異なります。「必ず直近5年分だけでよい」と自己判断しないことが大切です。

税務署が更正・決定できる期間は原則5年で、偽りその他不正の行為がある場合は7年となるなどの規定があります。ただし、この期間の規定と、個別に必要となる申告の判断は区別する必要があります。

事業を始めた時期や申告状況を伝え、どの年分から対応するかを税理士に確認してください。

Q.税務署から連絡が来た後でも相談できますか?

はい、相談できます。届いた書面や電話の日時、担当部署、伝えられた内容、回答期限を整理して税理士へ共有してください。

「お尋ね」なのか、税務調査の事前通知なのかなどによって対応が異なります。書面は捨てずに保管し、連絡を放置しないようにしましょう。

Q.税金を払うお金がなくても相談できますか?

はい、納税資金が不足していても相談できます。まず税額の見通しを立て、収支や資産の状況を踏まえて、利用できる猶予制度などを検討します。

税金を払えないことを理由に申告も遅らせると、対応がさらに難しくなることがあります。資金面の不安は、申告書を提出する前から伝えてください。

Q.相談や見積もりだけでも料金はかかりますか?

初回相談や見積もりを無料としている事務所もありますが、相談時間や内容によって有料になる場合もあります。予約時に、無料で相談できる範囲を確認しましょう。

契約するか迷っている段階でも、対応の流れや料金を聞いてから判断できます。

Q.税理士に依頼すれば、本人は何もしなくていいですか?

帳簿や申告書の作成は依頼できますが、資料の提供、取引内容の説明、申告内容の確認などは必要です。

どの資料を、いつまでに、どの方法で提出するかを確認しておくと、作業を進めやすくなります。

無申告の不安は、今の状況を相談するところから

無申告が続くと、税金への不安だけでなく、過去の資料を集める負担や納税資金の問題も大きくなりがちです。

税理士に相談すれば、申告が必要な年分、使える資料、費用、納税までの流れを整理できます。資料や資金がすべてそろうまで、一人で抱え込む必要はありません。

何年も申告していない方も、
資料がそろっていない方も、ご相談ください。

無申告決算相談Laboでは、個人・法人の無申告に関するご相談に全国対応しています。

「何年分の申告が必要か分からない」「領収書がない」「税務署から連絡が来た」など、まずは現在の状況をお聞かせください。

申告に向けて何から始めればよいか、一緒に整理します。ご相談は、サイト内のLINE・電話・お問い合わせフォームからご連絡ください。

この記事を書いた人

武信 隼人(たけのぶ はやと)
武信 隼人(たけのぶ はやと)公認会計士・税理士
所属 公認会計士協会中国会 中国税理士会
公認会計士  第31637号
税理士 第128479号

1977年広島県呉市生まれ。会社が倒産した祖父と同業で起業した父の後ろ姿を見て育つ。青山学院大学経済学部卒業後、大手監査法人で幅広い業種の監査やコンサルティング業務を経験。その後、祖父及び父の経営していたような中小企業や個人事業主・フリーランスを助けるべく奮闘中。
日本全国の無申告・税務調査の対応件数は過去4年間で700件以上。IT/AIを駆使した業務効率化とサービス提供を行い、多くのお客様に最善のサポートを行っている。

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